接着剤のこだわり

住む人の健康を第一に考えた天然接着剤

接着剤については、ホルムアルデヒドやその他のVOC(揮発性有機化合物)の問題があります。ホルムアルデヒドは、急性毒性が強く、特に粘膜に対する刺激作用が強いため、劇物として扱われ、国際ガン研究機関(IARC)のグループ2Aの発ガン物質に指定されています。人体影響として、0.1PPM程度から刺激臭が感じられ、4.0PPMで不快感、目鼻、のどの刺激。50PPMでは皮膚や肺に炎症ができ、100PPM以上で死亡すると言われています。慢性的にも、皮膚ガン、肝臓ガン、前立腺ガン、膀胱ガン、脳腫瘍の発生のおそれのある物質です。

せっかく自然素材、国産材の内装無垢材や床板を使用しても、接着剤から有害なホルムアルデヒドや、有害なVOCが発生し、室内の空気汚染をしたのでは意味がありません。木工用接着剤から発生する化学物質は、酢酸メチル、酢酸ビニル、酢酸エチル、アセトアルデヒド、エタノール、イソープロピルアルコールなどがあり、また、接着剤には、ユリア樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂接着剤(エマルジョン型)、フェノール樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、ゴム系接着剤(合成ゴム)などがあります。ユリア樹脂系接着剤のアミノ系樹脂は、ホルムアルデヒドを発散し、ウレタン系接着剤は、イソシアネート基というきわめて反応性に富んだ基を持っていて、それが色々な官能基と反応します。イソシアネート化合物は、反応性が高いために人体への影響が考えられます。

接着作業では、換気を良くして、体内への蒸気の吸入を減らすと共に、皮膚に付着した接着剤は、すぐに洗い落とす必要があります。ゴム系接着剤(合成ゴム)の場合は、有機溶剤として主にトリオールを使用しますが、トリオールは、空気より重く人体に有害なので換気が大切です。又、引火性があり火災の危険性もあります。

私共に相談のあった例でも、某大手ハウスメーカーの業者から天然素材で健康的な素材であるということでコルクタイルを勧められ、リフォームをしたところ、そのご家庭の奥様が、めまいや体の不調を訴えられた例があります。調査の結果、主な原因はゴム系の接着剤であるということが判明しました。有害なキシレン・ベンゼン・トルエン・ジクロルメタン等が室内に発生していたそうです。

この様に、接着剤にも様々な有害物質が含まれているので、せっかく天然木材を使用したり、無垢材の内装材やフローリングを使用しても、接着剤までにも気を配り、できるだけ化学物質を遠ざけた住まいづくりを心掛けなければ、『安全で健康でナチュラルな住まいづくり』も台無しになってしまいます。私たちは基本的に、有害な揮発ガス等を発生しない天然樹脂の天然接着剤の使用を義務づけ、住む人の健康を第一に考えた住まいづくりにこだわり続けています。

建築主の方に実際に匂いを嗅いで頂き、推薦する接着剤を選んで頂けます

ドイツAURO社の天然接着剤

石油化学物質を一切使用していない、天然樹脂ベースの液状接着剤です。塩素系炭化水素、非分解性環境破壊物質を含まず、有毒、有害なガスを発生しません。また、生物に直接触れても害がないので、幼児やお子様向けにも安心して使用できます。純粋な植物性バインダー、植物性溶剤のみを使用していますので、室内環境によい影響を与えます。スズキ建築設計事務所では、10年以上使い続けてきて、天然接着剤のため剥がれたりする施工の問題はあっても、健康問題が発生したことはありません。

株式会社シオンの天然接着剤「匠」

日本古来の接着剤原料である膠(ニカワ)をベースとし、岩手県産の木酢液、青森ヒバ油、亜麻仁油等の食用植物油を混合して作られた自然素材100%の天然接着剤。合成化学物質を一切使用していないため、ホルムアルデヒド放散量試験において不検出。