自然石洗い出し仕上げ

現在の住宅づくりは、安く、早く、簡単に,家づくりがされているようです。
そのため、家づくりは、その国の文化に関わるのですが、大工さんからして、住宅づくりで、国産材に触れることもなくなり、毎日の作業は、床の合板フロアーを張り、あとは、ビニルクロスのための、石膏ボードの下地張りの仕事が大半です。 ドア枠なども、木目を印刷したシート建材(中身はMDF)の為、大工さんのイメージのカンナや、ノミノミなどの刃物は使わなくなっているのです。 一般的な人達が抱いている大工さんのイメージとは、現実は、かけ離れて、プロの間では、建売やパワービルダー、ローコスト住宅メーカー、ハウスメーカーの住宅の大工は、「ボード大工」とか、「下地大工」と呼び、そのような仕事が多いため、せっかく身につけた国産材などの無垢材を扱う技術を持った大工さんが減っていくのは、「日本の木の文化」廃れていくことなのです。 大変残念なことです。
実は、もっと伝統の技術が,無くなってきている工事業種があるのです。 左官工事です。
住宅が、早く、安く、簡単に出来上がることを望んでいるユーザーが多いため、住まいの内壁、天井はビニールクロスを貼るのが、一般的な施工となってきているようです。 まさに、大きなビニール袋を被っているような部屋となっています。
住宅で、左官工事をする部分が、全くないよう状況です。
以前は、基礎工事の外周部分に、モルタル刷毛引き仕上げを行うことが多かったのですが、これも、コストダウンの為、コンクリートそのままの現わしの住宅が多くなってきています。
もちろん、住宅内部の、伝統的なシックイ仕上げなどは無いため、左官屋さんが息子に跡を継がせても、技術を伝承するような現場がないため、困っているという言葉を聞きます。
住宅のポーチや玄関なども、タイルを貼ることも良いのですが、日本には「自然石の洗い出し仕上げ」という、身近な自然の素材を活かす仕上げがあるのですが、知っている人は少なくなってきていますし、施工できる人も少なくなってきています。
洗い出し仕上げとは、自然石の普遍的な美しさを表現する伝統的な左官工法ですが、施工が難しいと言うことと、手間と時間がかかると言うことで、現在では住宅に使われることはほとんど無くなってきているようです。
日本の文化の中に、自然を住まいに取り入れまた、それらを楽しむ文化があります。 そのため、砂利なども、産地毎に、那智、大磯、南部、桂、高浜、金華などの砂利を、洗い出し仕上げにして、ポーチや玄関、アプローチなどに取り入れてきましたが、それも過去の話のようです。
自然石の洗い出し仕上げは、自然石のため変わらぬ美しさを保ち続け、長い歳月に耐える仕上げ材なのです。
私たちは、自然石の洗い出し仕上げをユーザーに押しつけでなく、仕上げ材の一つとして、お勧めして、ご採用をいただいていることが多いのです。
住まいづくりは、その国の文化です。 伝統的な左官工法を残すためにも大切と思って、国産材運動だけでなくこのようなことにも気にかけて活動しています。

 
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鈴木 明