前回は、住宅建築で、小規模な建築物と言われる住宅でも、基礎工事の生コンクリート打設時に、スランプ測定、空気量測定、塩化物イオン濃度測定、圧縮強度試験について、しっかりと行うことが、建築工事を依頼して頂いたお客様への信頼の応え方です。
前回では、各測定の必要性を述べましたが、どのように、現場から報告され、確認する個所はどこをチェックすれば良いのでしょうか。
試験調査会社から、現場名の黒板を掲示して、スランプ測定、空気測定、塩化物イオン濃度測定、圧縮試験用のテストピースを並べて、記録写真として撮影した写真が報告されます。
生コンクリート打設当日に、採取して、スランプ試験、空気測定、塩化物イオン濃度測定された、フレッシュコン・検査記録チェックが下記のチェックリストです。
前回の再確認をすると、
生コンクリートのスランプ値は、一般的に、15~18㎝の範囲。
コンクリートの空気量は、普通コンクリートで、4.5±1.5%が適正値。
生コンクリートの塩化物含有量は、原則として、0.3㎏/m3以下の規制値です。
チェックしてみよう。
このように、コンクリート試験の検査員は、各項目を検査、確認チェックし、大丈夫と確認すると、生コン車から、待機しているコンクリートポンプ車に生コンクリートが流し込まれ、コンクリート打設が開始されます。
次の表は、コンクリートの塩化物濃度の測定報告書です。
前回も記載しましたが、コンクリートの塩化物含有量は、原則として、0.30㎏/m3以下です。
コンクリートの圧縮試験は、生コンクリート採取後、1週間後に、1週強度試験が行われます。
その試験結果の表が、この表です。
そして、4週間(28日)後に、コンクリート最終強度の圧縮試験を行います。
その結果が、このコンクリート圧縮強度試験成績表です。
この成績表で、構造設計、コンクリート強度に達していないときは、基礎工事のやり直しになりますので、大変重要な試験成績表です。
*参考
型枠の存置期間の目安
(普通コンクリートの場合)
平均気温:15℃ → 3日
平均気温:5℃ → 5日
平均気温:0℃ → 8日
このように、大変重要な、生コンクリートの試験なのですが、多くの建築業者や、工務店の中には、住宅は、小規模建築と言うことで、生コンクリートの試験を省略していることが多いようです。
検査や試験は、自分たちの工事の信頼と自信の裏付けとなるものです。
株式会社スズキ建築設計事務所
取締役相談役 鈴木 明